第五章 堕ちた人妻

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 加藤が弥生の肌に指を這わせていくのを、すぐ背後で西脇真澄がジッと見ていた。
 あふれでる肉欲を抑えきれないのか、両手で自身の乳房を熱心にこねくりまわしている。
 あの生意気だった小娘が、よくもまあここまで淫乱になったものだ。
 チラリと従順な奴隷の様子を眺めてから、本格的に加藤は門田弥生の肉体を楽しみ始める。
 やわらかな肉丘を堪能したあとで、指先を伸ばして実っていた野苺をギュッと摘んだ。
「ひあうッ!」
 とても耳に心地よい喘ぎだった。
 清楚の象徴のようだった美人妻は、今や見る影もない。
 敏感な反応を示しては、もっと胸を揉んでとばかりに二つのふくらみを強調してくる。
「最初に出会った頃は、地味な服に身を包んでいたな。それがまさか、中にこんなスケベな体を隠していたとはな」
 顔を近づけて軽く唇を触れさせてやれば、弥生の方から積極的にむしゃぶりついてきた。
 唾液と唾液を混じり合わせ、ヌラついた舌どうしをピッタリと密着させてくる。
 口内でピチャピチャと卑猥な音を響かせながら、乱雑な絡みあいはさらに濃密度を増していった。
「んん……んむ……んうん……」
 美人妻の悩ましい吐息が耳をくすぐり、股間のきかん棒がどこまでも硬くなった。
 閉まっておくのも苦しいくらいで、早くここから出せと騒ぎ立てている。
 こうなれば当初の計画よりは早いが、ここで正体をバラしておいた方がいいかもしれない。
 若干迷いながらも決断した加藤は、真澄に門田弥生のアイマスクとヘッドホンを外すように命令した。
 無言で頷いた真澄がすぐに実行する。

「ああ、真澄さん……」
 突如光を取り戻した視界に、目をしばたかせる弥生。
 最初に真澄の顔が瞳に映ったらしく、安堵の微笑みを浮かべた弥生だったが、直後にその表情が凍りついた。
 自分が今まで口づけをしていた相手が、愛しの西脇真澄嬢ではなかったことに気がついたのだ。
「い、嫌ッ!」
 数瞬呆然としたあと、我に返った弥生が頭を左右に振って加藤の唇から逃れようとする。
 取り乱した美人妻の激しい抵抗により、加藤は仕方なしに舌を解いて口を離した。
「さっきまであれだけ吸いついていたくせに、ずいぶんつれないではないか。ん?」
「こ、これは一体どういうことなの。ねえ、真澄さん」
 事態をよく飲みこめていない弥生は、必死になってまだ味方と信じている女性の名前を連呼している。
 涙をとめどなく流し、決して加藤とは目を合わせようとしない。
「どういうことも、こういうことも、そのまま見たとおりよ」
 親密さをアピールするかのように、西脇真澄は両手を加藤の右肩に乗せてきた。
 楽しそうに笑う真澄とは対照的に、弥生はまともに顔色を失っている。
 予期していなかった光景を目の当たりにして、精神が完全に打ちのめされているようだった。
「ど、どういうことなんですか……」
 震える唇で繰り返される台詞。あれだけ燃え上がっていた性感も、すっかり消え失せてしまった。
「やれやれ。門田夫人は言葉だけじゃ理解できないようだ」
 門田弥生が見ている前で、加藤は真澄の身体をグイと引き寄せた。指先で顎を掴み、小さな顔を軽く持ち上げて唇を奪う。
 戸惑いもせずに西脇真澄はディープキスに応じ、両手を加藤の首の後ろに回して身体をより密着させる。
 濃厚な接吻をしばらく継続したあと、チラリと放置したままの人妻の様子を加藤が確認すると、顔面は蒼いどころか真っ白に近くなっていた。
「これで理解していただけたかな」
 生気がまったく感じられないほど弱々しくなっている、他人の美人妻に加藤が向き直る。
「真澄がお前に近づいたのは、最初からワシの指示だったのだよ。快楽を徹底的に教えこみ、性の虜にしてしまえとな」
「そ、そんな……」
 事実を知らされた門田弥生は、呆然としていた表情に強い驚愕を浮かばせた。
 自由が拘束されている裸体をガクガクとさせ、枯れることのない透明な滴が頬を伝い落ちて、純白のシーツに悲しみの染みを作りだす。
「可愛かったわよ。私の手で段々と女の悦びを覚えていく貴女の姿」
「ううう……」
 心から信じていた人間に裏切られ、嫌悪も抵抗も弥生にはもう存在してなかった。
 この分なら堕とすのは簡単かもしれんな。真面目な人間であればあるほど、多大なショックを受ければ脆く崩れてしまうものである。
「お前だってまんざらじゃなかっただろう。こうして胸を揉まれれば、悦楽の日々が思い出されるはずだ」
「だ、駄目です……」

 飽きずに繰り返される言葉も、今回ばかりはまるで力がない。
「フッフ。お前は最初からワシの女になる運命だったのだよ」
 コリコリとしている乳首を指で摘んでやると、抜群の反応が返ってきた。調教された肉体は、しっかりと蜜の味を覚えているのだ。
 精神の抵抗など、本能の前では無意味に等しかった。
「ほら、乳首もすっかり喜んでおる」
「あフン、嫌……」
「嫌、じゃないでしょ」
 真澄が自分の顔をゆっくりと弥生に近づけていく。
「舌を出しなさい。いつもみたいに優しく舐めしゃぶってあげる」
 何か言いたそうに口をモゴモゴさせていたが、やがて言われたとおりにおずおずと弥生が舌を差しだした。
 唾液がヌラつき、卑猥この上ない紅舌にすかさず真澄が吸いつく。
 女同士濃厚に舌を絡ませあい、楽しげに唾液の飲ませっこをしている。
 極上の美女二人が唇で奏でる下品なメロディーが、加藤をたまらなく興奮させた。
「ワシも、もう一度弥生の舌を味わいたくなってきたわい」
 加藤の言葉を聞くと、牝奴隷である真澄がすぐにキスを中止する。
「私にしたのと同じように……できるわね?」
 西脇真澄が耳元で囁くと、恥ずかしそうにしながらも門田弥生は顔を頷かせた。情感溢れるキスで、弥生の心にある防御壁が溶かされてしまったのだろう。
 唇を重ねると、最初はぎこちなかったものの、弥生が積極的になるまでさして時間はかからなかった。
「あン、うフン」
 肌に触れられるのも嫌がってたのが嘘のように、美しい人妻は夢中になって加藤の唇にむしゃぶりついている。
 口内の粘膜を十分に堪能した加藤が唇を離そうとしても、相手がそれを許さない。
「弥生ったら、そんなにご主人様の舌が気に入ったの? あまりに凄いディープキスじゃない。うふふ、妬けちゃうわ」
 加藤がようやくキスを終えたかと思うと、すぐに真澄が門田弥生の唇を再び奪った。
「ご主人様と弥生の唾液がミックスされていて、とても美味しいわ。私の唾液も混ぜてあげる」
「舌が蕩けちゃいそうなの。真澄お姉様ぁ」
「あら、お姉様なんて呼んでくれたのは初めてね」
「ああ、恥ずかしいわ。私ったら、年下の女性に……」
「うふふ、構わないわ。弥生のお姉様になってあげる」
 なんともたまらない会話が、加藤のすぐ側で展開されていた。
 弥生はすっかりメロメロで、目元がポウッと上気している。
「弥生、お前はワシの女になるのだ」
「で、でも……それは……」
 肉体はとっくの昔に陥落してしまってるのに、最後の一線でかろうじて踏み止まる。
 本当にたいした女だと、加藤は思った。だがその精神が降伏するのも時間の問題だ。
 加藤が目で合図を送ると、受け取った西脇真澄が小さく頷いた。
「何も心配する必要はないわ。私と一緒に、ご主人様の牝奴隷になるのよ」
 門田弥生の髪の毛を優しく撫でながら、耳元で真澄が囁く。
 愛しのお姉様のひと言で、相当に心は揺れ動いたようだったが、それでも首を縦には振らなかった。
「ふむ。ならば仕方がない」
「ご主人様。本当によろしいのですか」
 予想外の台詞だったのだろう。西脇真澄は目を見開いて、加藤を見つめていた。
「本人の意志なのだから尊重せねばなるまい。ワシの愚息の相手は真澄にしてもらうとしよう」
「わかりました。私でよければ喜んでお相手させていただきますわ」
 笑顔で真澄はジーンズとショーツを一緒に脱ぐ。
 これに戸惑ったのは美貌の人妻だった。今までは弥生を中心に事が進んでいたのに、突然存在を無視するかのように二人だけで性行為を開始したのだ。
「弥生はコレがいらないんだろう? そこでワシと真澄のセックスを黙って眺めてるといい」
「ご主人様のたくましいオチ×チ×が入ってくるぅ」
 加藤の一物に十分慣れ親しんでいる肉穴は、ピッタリと合致してキツく締めつけてくる。何度も楽しんでるだけに、相性は抜群だった。
 西脇真澄はすぐに媚声をあげ、両手を使えない門田弥生はどこか恨めしそうに加藤を見つめていた。

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