第四章 新たなる獲物

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 女性同士特有の濃厚なディープキスをひと段落させたところで、真澄は美貌の人妻である門田弥生の乳房を手のひらで包みこんだ。
 ファーストタッチ時の感想と同じように、伝わってくる強い弾力性。それに豊かなふくらみは手のひらからこぼれてしまいそうである。
 真澄もバストは人並みより大きいほうだが、弥生のそれはさらに上回っているようにも思えた。
「弥生さんのおっぱい、柔らかくてたまらないわ」
 耳元で囁きながら、優しいタッチで衣服の上から美人妻の双乳を揉みほぐす。
 恥ずかしさから耳まで真っ赤にさせてしまっている弥生は、微かに震えている唇を閉じたまま、なるべく真澄のほうを見ないように目を伏せていた。
「照れる必要なんてないですわ。せっかくだから弥生さんも楽しんでください」
「そ、そんな。わ、私たちは女性同士なんですよ」
「だからいいんですわ。ウフフ、弥生さんの困った顔もとっても素敵。また舌を吸いたくなっちゃった」
 手で乳房をこねくりまわしながら、顔を近づけて真澄は再び弥生の唇を塞ぐ。
 抵抗もなく受け入れた弥生の口内を舌でいじくりまわしてやると、鼻先から「アフン」という軽い喘ぎが聞こえてきた。
 性体験が未熟で性格がおしとやかな弥生といえど、その実体は熟れた肉体を持つ三十代の女。感度が強くても当然の話だった。
「遠慮しないで素直に感じて」
 唇を離すと、今度は弥生の耳たぶを唇ではむっと噛む。そのまま耳を愛撫してやると、魅力溢れる人妻は戸惑うような様子を見せる。
 真面目な夫と妻。恐らく門田夫妻の夜の営みは、ほとんどといっていいほどマニュアルどおりの正上位だけだったに違いない。だからこそ、マニュアルにはない真澄の愛撫に多少の驚きを見せたのだろう。
 すぐ服を脱がせたがる男性とは違い、衣服の上からのしつこいくらいの愛撫。女性ゆえの的確な力加減による責めに、早くも弥生はウットリとしてきているようだった。
 どうやら最近は夜の生活もご無沙汰で、グラマーな肢体を若干もてあましぎみだったようである。
 もっともそれは、弥生を堕とすという使命がある真澄にとっては好都合だった。
「もっと沢山キスをしましょう。弥生さん、舌をだして」
 頬を羞恥に染めながらも、おずおずと弥生が舌をだしてきた。
 真澄も自ら舌をグッと伸ばし、空中で唾液を滴らせながら絡めあっていく。
「ンフン、ンウン」
 目の前にいる美人妻は真澄の舌技に酔いしれるように、そっと瞼を閉じている。だいぶ理性も緊張もほぐれてきている証拠だった。
 息を弾ませ、お互いの舌を密着させたまま、真澄は弥生の上衣を静かにたくしあげた。
 ブルンと乳房が大きく一度だけ弾み、淡いブルーでレースの刺繍がはいったブラジャーが現れた。
 すぐにフロントロックを外し、雪色に近い肌をした弥生のバストを解放させる。
「は、恥ずかしいわ」
「そんなことない。とっても綺麗なおっぱいだわ」
 お世辞などではなかった。弥生の双乳は同性である真澄から見ても、ため息がでてしまうほど美しかった。
 シミひとつなく、乳輪や乳首もほどよい大きさで美しいピンク色をしている。美乳という形容がまさにしっくりとくるほどであった。
 胸の感度はどうなのかと、弥生の乳首を人差し指と親指に挟んでみる。するとたいして力を入れないうちから弥生の上半身がビクンと反応した。
「ウフフ。どうやら弥生さんはおっぱいが感じるみたいね」
「そ、そんなこと……」
「さっきも言ったでしょ。遠慮しなくていいの、私がタップリ可愛がってあげるわ」
 すっかり主導権を握った真澄がそう宣言して、いきなり弥生の乳頭へかぶりついた。軽く歯を立てて、少し強めに刺激してみる。
 すかさず痛いという悲鳴が弥生から発せられたが、刺激を加えられた当の乳首は、あっという間にコリコリに勃起してしまっていた。
 やっぱり。自分では気づいていないだろうけど、この女はマゾだわ。
 同属だからゆえか、初対面からそうではないかと疑っていた真澄だったが、今回の一件でそれを確信していた。
「ごめんなさい。今度はちゃんとするから」
 痛くしたことを謝罪しつつ、今度は先ほどよりも多少弱く乳首を噛む。
 外面上は非常におしとやかな美人妻から「アアン」という強めの声があがり、瞳には薄っすらと涙が滲みはじめていた。
「私の愛撫で感じてくれているのね。とても嬉しいわ」
「ンフ、ンン。ま、真澄さん……」
 弥生はいまだかつてないほど戸惑っていた。
 面識もほとんどなかった年下の女性に、好きなように身体をいじられているというにもかかわらず、嫌悪感を覚えるどころか馴染んでしまっている自分がいるのだ。
 もしかしたら自分はアブノーマルな女性だったのだろうか。そう錯覚してしまうほど、西脇真澄の愛撫に幸せさえ感じてしまっていた。
 乳首が立っているのが自分でもはっきりと分かり、ショーツが濡れている感触も肌に伝わってきている。
 これ以上は本当に駄目だと思っても、与えられる快楽に麻痺している身体は力を入れようとしても、まったく意思どおりには動いてくれなかった。

「次はいよいよこっちの番ね」
 そう言って真澄が見つめたのは上半身ではなく、門田弥生の下半身だった。
 専業主婦をしている彼女は室内ではブルーのジーンズをはいていて、ムッチリとした太腿がパンと張っている。
 腰部に手をやると、きちんとくびれが存在していて、かなりメリハリのきいたナイスバディだった。
 ジーンズのホックを外し、ゆっくりと下げていくとブラとお揃いのショーツが登場する。よく見てみると、その股間部分はすでに小さな染みを作っていた。
「ここからとてもエッチな匂いがしてくるわ」
 弥生に見えるようにわざと顔を股間に近づけ、クンクンと真澄は匂いを嗅いでみせる。
 当然のごとく恥辱を極めた弥生はすぐにやめるよう懇願してくるが、真澄はその行為を中止するつもりは毛頭なかった。
「どうしてかしら。匂いを嗅がれて、本当は弥生さんも喜んでいるんでしょう」
「そ、そんなことあるわけありません」
「それは嘘ね。だって私がこうしているだけで、下着についている染みがどんどんと大きくなってきているもの」
「そ、それは……」
 真澄の言葉に対して、弥生は反論することができなかった。
 恥ずかしくてやめてほしいと思う反面、何故か体の奥底が熱くなってきているのだ。
「弥生さんはマゾなのよ。恥ずかしいことをされると気持ちよくなってしまう、ね」
「ち、違います。私はそんな……」
「ウフフ。すぐにわかるわ。私が教えてあげる」
 ジーンズを脱がし、ショーツも一気に引きずり下ろす。真澄の視界に飛びこんできたのは、濃くも薄くもない局部を覆っている陰毛。
 普通どんな美人な女性でも、体のどこかには不完全なところがあるものだが、門田弥生の女体だけは真澄の目から見ても完璧だと思えた。
 傍目から見れば真澄も超がつくほど美しい女性なのだが、それでも弥生の肢体を目にすれば少なからず嫉妬してしまった。
 なにせ三十路を越えているというのに、ボディラインがまったくといっていいほど崩れていないのだ。しかも理想的に体は歳を重ねていて、ほどよくついた脂肪が女らしさを強調していてなんとも悩ましい。
 じっとりと濡れている赤貝に軽く指をなぞらせてみると、ぬちゃりという滑った音が響き、指先には卑猥な液体が付着していた。
「もしかしてだいぶご無沙汰だったの」
「そ、そんなこと……」
「隠さなくてもいいわ。ご主人はこういうことにあまり熱心そうじゃなさそうだものね」
 秘裂にそって指を何度も動かしながら、真澄はクスリと笑う。
 実際だいぶそういった行為をしていなかったのだろう。図星をつかれた感の弥生は気まずそうに口を閉じてしまっている。
「旦那さんのぶんまで私がしてあげる。だから何もかも忘れて一緒に楽しみましょう」
 そう言うと真澄は両手で美人妻の足を開かせ、露になった女性器へと唇を近づけていった。

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